うぃーとの雑言

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海技試験申請書の書き方

実験室で出来る自家製パンの作り方

【目次】

 

 

【目的】

 本実験は、エタノール発酵の過程を観測することから、好気代謝と嫌気代謝の関係を解明し、パンを作ることで、水圏酵母の重要性、酵母による発酵代謝カニズム発酵食品の製造に関する理解を深めることを目標とする。

 

 

【使用した器具】

三脚・金網・ガスバーナー・3重底の鍋・温度計・テフロン製安全ピペッター・スタンド・ビュレット・三角フラスコ・ビーカー・ホールピペット・メスピペット・250ml細口共栓試料瓶・ラベル

 

【操作手順】

  • (実験1)酵母の呼吸活性測定

  1. 酵母培地の培養液を遠心分離器にかけ、底に酵母菌を集め、湿重量測定を行った。
  2. グルコース酵母培地に5ml程度入れ攪拌したのち、アインフロン管に流し入れ合計15mLとした。
  3. アインフロン管を温度35度に保った機械の中に入れ、発生した気体を計測した。

 

  1. 発酵液を20mLとり、そこに380mLの蒸留水を入れることで20倍希釈した。
  2. 稀釈した発酵液1mL、NADP・ATPを含む緩衝液、蒸留水1.9Mlをキュベットに入れ、攪拌したのち、3分間放置した。
  3. 放置したのち、吸光度(340nm)の測定をした。(E₁値)
  4. 測定したのち、ヘキソナーゼ、グルコース—6-リン酸 デヒドロゲナーゼ酵素を含む溶液を加え攪拌したのち、10分間放置した。
  5. 10分たった後、吸光度(340nm)の測定をした。(E₂値)
  6. 同様に、蒸留水のブランクのグルコース量を上記の①~⑤までと同様にしてE₁、E₂を測定した。
  7. グルコース量は、以下の式を用いて求めた。

グルコース(g/l)=(反応溶液量 × 分子量 × ΔE)/(吸光係数 × 発酵液量 × 1000)

= (3.02 × 180.16 × ΔE)/( 6.3 × 0.1 ×1000)

= 0.864 × ΔE・・・式①

※ΔE = (E2-E1)発酵液 - (E2-E1)ブランク である。

 

  1. 稀釈した発酵液1mLおよび、NAD、aldehyde dehydrogenaseの入った溶液Ⅱを3mLキュベットに入れ、攪拌したのち、3分間放置した。
  2. 放置したのち、吸光度(340nm)の測定をした。(E₁値)
  3. 測定したのち、alcohol dehydrogenaseを含む溶液を加え攪拌したのち、10分間放置した。
  4. 10分たった後、吸光度(340nm)の測定をした。(E₂値)
  5. 同様に、蒸留水のブランクのグルコース量を上記の①~⑤までと同様にしてE₁、E₂を測定した。
  6. エタノール量は、以下の式を用いて求めた。

エタノール(g/l)=(反応溶液量 × 分子量 × ΔE)/(吸光係数 × 発酵液量 × 2 × 1000)

= (3.15 × 46.07 × ΔE)/( 6.3 × 0.1 × 2 × 1000)

= 0.1152 × ΔE・・・式②

※ΔE = (E2-E1)発酵液 - (E2-E1)ブランク である。

 

  • (実験4)パンの製作

  1. ビーティング:強力粉150g、乾燥酵母6g、砂糖24g、仕込み水145g(40度)、卵黄1つをボールに入れコネ棒で5分以上撹拌した。
  2. ニ―ディング:強力粉60g、薄力粉90g、食塩4.5gを手で十分にこね、さらにパンこね機で70秒撹拌した。そこに、バターを加え、均一に混合し、パンこね機で30秒程度撹拌した。
  3. 第一次発酵:ボールにて35℃で40分放置した。
  4. 第二次発酵:ガス抜きし、12分割してクックシートの上に置き、天パン35℃で20分間放置した。
  5. 第三次発酵:半分にあんこを包み、卵黄を表面に塗り、35℃で20分放置した。
  6. 焼成:オーブンで180℃、30分焼きを入れた。

 

 

 

【実験結果】

  • (実験1)酵母の呼吸活性測定

 発酵させたL-字型試験管の中にある気体の量(mL)と経過時間をまとめた表①以下に示した。

 

表① 経過時間と発生した気体の量

班\時間

30分

60分

90分

120分

150分

180分

酵母の種類

1班

0.6

6.3

10.2

     

     

     

パン酵母

2班

0

1.8

4.8

7.6

9.8

     

F2-11

3班

0

0

0.4

0.5

1

2

AN2-56

4班

0

0.2

2.1

5.6

8.7

11.2

C19

 

各班の酵母グルコースを消費して発生した二酸化酸素の量を求めた結果を以下に示した。

理想気体の状態方程式より、最後に計測した気体の体積をVとすると、以下の式から求められる。

1

∴  モル

以下同様にして計算すると、

2

0.000388027モル

3

7.91891×10⁻⁵モル

4

0.000443459モル

 

以下に発生した気体をモルに直したときの値を表②で示した。

表② 発生した気体のモル

班\時間

30分

60分

90分

120分

150分

180分

1班

2.37567E-05

0.000249446

0.000403864

0

0

0

2班

0

7.12702E-05

0.000190054

0.000300919

0.000388027

0

3班

0

0

1.58378E-05

1.97973E-05

3.95946E-05

7.91891E-05

4班

0

7.91891E-06

8.31486E-05

0.000221729

0.000344473

0.000443459

 

 

以下に、発生した気体のモルと経過時間の関係を示したグラフ①を示した。

グラフ① 発生した気体のモルと経過時間の関係

f:id:ZNOXY:20180926103317j:plain

(青が1班、オレンジが2班、灰色が3班、黄色が4班の酵母による発酵である)

 

 4

測定した結果を以下の表③に示した。ただし、ブランクは200倍希釈で

表③ 4班の測定結果

 

E₁

E₂

グルコース

0.0061

0.0096

ブランクグルコース

0.000

0.0028

エタノール

0.0052

0.0110

ブランクエタノール

0.0006

0.0022

 

したがって、発酵液が20倍希釈、ブランクが200倍希釈していることを考慮してΔEを求めると、以下の表④のとおりであった。

表④ 4班のEの計算結果

E₂-E₁

ΔE

グルコース

0.07

-0.49

ブランクグルコース

0.56

 

エタノール

0.116

-0.204

ブランクエタノール

0.32

 

 

式①にグルコースのΔEを当てはめて求めると、-0.42336g/Lとなり、式②にエタノールのΔEを当てはめると、-0.0235008g/Lとなった。

 

初めのグルコースの量は、0.5 × 15 / 1000 = 0.0075 molであった。

 

発生したエタノールの量から、モルに変換すると、エタノールのモル質量は46.07 g/molとすると、

-0.0235008 × 15 / 1000 / 46.07 = -7.651… × 10⁻⁶

精製したエタノールは、-7.65× 10⁻⁶モル

これは、嫌気呼吸により発生したエタノールの量を表している。また、この2倍が消費したグルコースの量になっていると考えられるから、

-7.651… × 10⁻⁶ × 2 = -1.53… × 10⁻⁵

 

発酵に使われたグルコースの残りの量は、グルコースのモル質量を180.16 g/molとすると、

-0.42336 × 15 / 1000 / 180.16 = -3.5248… × 10⁻⁵

-3.52 × 10⁻⁵モル

したがって、実験中に消費したグルコースのモルは、

(0.0075) - (-3.5248… × 10⁻⁵) = 7.5352… × 10⁻³ 

 

ここ発酵に使われたグルコースの量から、嫌気呼吸で消費されたグルコースを引くと好気呼吸によって消費されたグルコースの量が求められるから、

7.5352… × 10⁻³ - (-1.53… × 10⁻⁵) = 7.5505… × 10⁻³

∴好気呼吸で消費されたグルコースの量は、-7.55 × 10⁻³モル

 

 

したがって、嫌気呼吸で消費したグルコースは0.203 %、好気呼吸で消費したグルコースは、100.2 %であった。

 3

測定した結果を以下の表⑤に示した。ただし、ブランクは200倍希釈で

表⑤ 3班の測定結果

 

E₁

E₂

グルコース

0.0070

0.0082

ブランクグルコース

0.000

0.0028

エタノール

0.0179

0.0210

ブランクエタノール

0.0006

0.0022

 

したがって、発酵液が20倍希釈、ブランクが200倍希釈していることを考慮してΔEを求めると、以下の表⑥のとおりであった。

表⑥ 3班のEの計算結果

E₂-E₁

ΔE

グルコース

0.024

-0.536

ブランクグルコース

0.56

 

エタノール

0.062

-0.258

ブランクエタノール

0.32

 

 

式①にグルコースのΔEを当てはめて求めると、-0.463104 g/Lとなり、式②にエタノールのΔEを当てはめると、-0.0297216 g/Lとなった。

 

初めのグルコースの量は、0.5 × 15 / 1000 = 0.0075 molであった。

 

発生したエタノールの量から、モルに変換すると、エタノールのモル質量は46.07 g/molとすると、

-0.0297216 × 15 / 1000 / 46.07 = -9.677… × 10⁻⁶

精製したエタノールは、-9.68× 10⁻⁶モル

これは、嫌気呼吸により発生したエタノールの量を表している。また、この2倍が嫌気呼吸で消費したグルコースの量になっていると考えられるから、

-9.6771… × 10⁻⁶ × 2 = -1.935… × 10⁻⁵

 

発酵に使われたグルコースの残りの量は、グルコースのモル質量を180.16 g/molとすると、

-0.463104 × 15 / 1000 / 180.16 = -3.8557… × 10⁻⁵

-3.86 × 10⁻⁵モル

実験中に消費したグルコースのモルは、

(0.0075) - (-3.8557… × 10⁻⁵) = 7.538… × 10⁻³ 

 

この全体で消費されたグルコースの量から、嫌気呼吸で消費されたグルコースを引くと好気呼吸によって消費されたグルコースの量が求められるから、

7.538… × 10⁻³ - (-1.935… × 10⁻⁵) = 7.557… × 10⁻³

∴好気呼吸で消費されたグルコースの量は、7.557 × 10⁻³モル

 

したがって、嫌気呼吸で消費したグルコースは-0.257 %、好気呼吸で消費したグルコースは、100.3 %であった。

 

 

  • (実験4)パンの製作・官能試験

 

 作成したパンの官能検査を五段階評価で行った結果を以下の表⑤に示した。

 

種類

中身

発酵

香り

コメント

A

(パン酵母)

プレーン

4

2

臭いだけはよいが味があまりしなかった。

アン

4

2

香りが強かった。

B

(F2-11)

プレーン

3

4

硬いがいつも食べているものに近い味であった。

アン

3

4

パンの香りが強くなった。

C

(C19)

プレーン

1

2

パンという感じがしなかった。

アン

1

2

味が薄いパンケーキのような感じであった。

D

(パン酵母)

プレーン

3

5

香りが少し弱いパンのようであった。

アン

3

5

アンの味しかしなかった。

 

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